キングコングの西野亮廣が、インパルスの堤下敦に対して「訴訟予告通知」をXに投稿した——。
2026年8月25日から26日にかけて、X上で一気に話題となったこの一件。
果たして、本当に訴訟に発展するのか。
関係者の投稿と報道を丁寧に追うと、見えてくるのは、芸人同士の独特な距離感と、西野らしい長文スタイルの「返し」だった。
発端となったやり取り
発端は、西野が自身の会社スタッフの投稿を引用したところから始まる。
スタッフがアップしたのは、すね毛の脱毛施術予約などをめぐるLINEのスクリーンショット。
そこには、堤下の上裸画像がスタンプのように一部添付されていた。
西野はこれを引用し、堤下をいじる一文を添えて投稿した。
これに堤下が反応した。
堤下は西野の投稿を引用し、「軽々しくスタンプの様に自分の部下に、こんな写真使うな!」「そもそも、これいつ撮ったんだよ!残り2回脱毛行くな!俺がすね毛噛みちぎってやるわ!クソ社長が!」と、怒りともノリとも取れる言葉を連ねた。
西野が投稿した「訴訟予告通知」の全文
すると西野は、堤下のこの投稿を引用した上で、タイトルを「【訴訟予告通知】インパルス堤下敦氏に対する法的措置について」とした長文を投稿した。
内容はこうだ。
「このたび、インパルス・堤下敦氏より、私が同氏の写真をLINEスタンプ代わりに使用していること、また毎週『キングコング』のYouTubeチャンネル内において、同氏に対する誹謗中傷を継続していることについて、『訴える』との申し出がございました。
同氏は『芸人のノリで済ませない』という姿勢を示しております。
その姿勢を貫かれるのであれば、こちらとしても、これまでの一連の事案について、然るべき対応を検討せざるを得ません」。
ここまでは、堤下の「訴える」という反応に対する、真っ向からの返しに見える。
西野は続けて、過去の具体的なエピソードを挙げた。
「まず、過去にルミネtheよしもとのエレベーターホールにおいて、私は同氏によって持ち上げられ、そのまま美術セットの廃材等が入っていた巨大なゴミ箱に投げ入れられるという事案がございました。
私がなぜゴミ箱に投げられたのかについて、明確な理由は現在に至るまで確認できておりません。
さらに、その直前まで芸事について真剣にアドバイスをしていた後輩芸人・ハリセンボンに一部始終を目撃されたことにより、私の先輩芸人としての尊厳が著しく損なわれたことも、併せて申し添えます」。
さらに、「堤下氏は、私が喧嘩に弱いことを十分に認識した上で、『キングコング』のYouTubeチャンネルに乗り込んでくるたび、私に対して激しい暴力を加えております。
これは『芸人のノリ』で処理されてよい事案なのでしょうか」と記した。
後半で大きく方向転換した内容
ここまで読むと、西野が本気で法的措置を検討しているようにも感じられる。
しかし、文章はここで大きく方向を変える。
「TKO木下氏が後輩芸人にペットボトルを投げたことで社会的に抹殺されたというのに(※本人は『下投げ』と主張)、なぜ堤下氏による一連の暴力行為については、これまで何の問題にもなっていないのか。
当方としては、極めて強い疑問を抱いております」。
ここから先は、堤下ではなくTKOの木下隆行を巡る話が続く。
「後輩にペットボトルを投げたことを発端として(※本人は『いろはす(柔らかい)』と主張)、事務所を退所し、さらにはタイにまで活動の場を移すこととなったTKO木下氏の『罪と罰』の著しい不均衡については、看過することのできない事象であります」。
木下のコンビニ前での座り込み配信にも触れ、「『木下だから』という一点をもって、世間はこれを容易には受け入れませんでした」「弊社としましては、木下の一連の事象を受け、『自分が木下ではなかったこと』に対する深い安堵と感謝の念を抱いており、今後もペットボトラー木下のさらなるご活躍を心より祈念する」と結んだ。
投稿の最後は、株式会社CHIMNEY TOWN代表取締役・西野亮廣名義で日付が記されている。
日刊スポーツなど複数の報道も、この投稿の全文を伝え、「文章はなぜか徐々に、かつてパワハラ疑惑騒動が報じられたTKO木下隆行の話題に移行し始めた」「完全に話が木下いじりに移行し、さらにはどさくさ紛れに『木下』と呼び捨てに変化しつつ、長文がしめくくられた」と指摘している。
直前に続いていた「お詫び」投稿との関係
この一連の流れを理解するには、直前の西野と堤下のやり取りを振り返る必要がある。
8月上旬、西野はYouTubeチャンネル『毎週キングコング』で堤下に対する発言があったとして、長文の「お詫び」を投稿していた。
「イノシシだから曲がれない」「最近、靴下の履き方を覚えた」「ガードレールに追突しがち」といった表現を挙げ、「本人の尊厳を損なうような発言を重ねてしまいました」と記しつつ、内容自体はユーモアを交えたものだった。
その後も「ニホンツツミシタ」や「一頭」といった表現を巡る追加のお詫びが続き、堤下と木下の両方を対象にした「お詫び」も8月17日に投稿されている。
西野のこうした長文は、以前からファンの間で「西野節」として知られるスタイルだ。
形式は正式な謝罪や通知に見えるが、内容は徹底したいじりと皮肉が織り交ぜられている。
今回も、堤下の「訴える」という反応を受けた形を取りつつ、最終的には木下を絡めた笑いの方向へ着地させた。
X上で広がった反応
X上の反応も、その方向性を強く示唆している。
「話変わってるのもウケるし、吊し上げ社会をイジってて好き」「相手が途中から木下さんになってるんだがww」「まだ完全にプペらずに芸人としての矜持を残してるあたり流石っすね!」「後半からもはや堤氏が関係なくなってるのオモロい」「こういうノリで返せるの強すぎる」といった声が目立った。
正式な訴訟状が届くような事態を想定した意見はほとんど見られず、「プロレス感が強い」「芸人同士のやり取り」として受け止める人が大半だった。
堤下側からも、この「訴訟予告」に対する直接的な反論や、実際に訴訟を起こすといった動きは、少なくとも投稿直後の時点では確認されていない。
堤下はこれまでも、西野のYouTubeや投稿を巡るやり取りに、ある程度のノリで応じる場面が続いてきた。
両者は『はねるのトびら』時代からの先輩後輩関係にあり、YouTubeでも互いのチャンネルに顔を出すなど、関係性は決して冷え切ったものではない。
現時点で確認できる事実と今後の展望
現時点で分かっている事実は、こうだ。
西野が堤下の上裸写真をスタッフ投稿経由で引用・いじり、堤下が「訴える」と反応し、西野が「訴訟予告通知」というタイトルの長文で返した。
長文の前半は過去の「暴力」エピソードを挙げつつ、後半は完全に木下いじりに移行した。
報道もこの内容を正確に伝え、X上の反応も「本気の訴訟」より「芸人のノリ」として広がっている。
西野が本当に法的措置を取るのかどうか。
投稿の文言は「検討せざるを得ません」であり、実際の提訴や代理人を通じた通知があったという情報は、現時点では出ていない。
むしろ、これまでの西野の長文スタイルや、堤下とのやり取りの歴史を踏まえると、今回も「返す」ための表現として選ばれた可能性が高い。
芸人同士の距離感は、外部から見るとわかりにくいことが多い。
冗談と本気の境界が曖昧で、強い言葉を使いながらも、関係を壊さないための独特の作法がある。
西野のこの投稿も、そうした作法の延長線上にあるように見える。
堤下が今後どう応じるか、あるいは両者が次にどんなやり取りを見せるか。
そこにこそ、今回の話題の本質があるのかもしれない。
少なくとも今のところ、「訴訟」という言葉は、タイトルとして使われたに過ぎない。
中身は、西野らしい、長い、そしてどこか笑える文章だった。


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