ドラマ「ヤンドク!」の原作について|実在女医の感動実話がドラマ化

フジテレビの新しい月9ドラマ「ヤンドク!」(2026年1月12日スタート)が大きな話題となっています。

橋本環奈が月9初主演を務め、金髪に特攻服という大胆なビジュアル変身で注目を集める本作。

気になるのは「原作はあるのか?」という点です。

その答えは、ドラマが実在する感動実話を基にしたオリジナル作品であることが判明しています。

ドラマ「ヤンドク!」に原作はない

驚くことに、「ヤンドク!」は漫画や小説などの既存の原作を基にした作品ではありません。

むしろ、より感動的なストーリー背景を持っています。 本作は実在する女性医師をモデルにしたオリジナルストーリーとして制作されているのです。

脚本を手がけるのは根本ノンジ氏。

彼は「ハコヅメ〜たたかう!警察署交番女子〜」「正直不動産」シリーズ「パリピ孔明」など、人気ドラマの脚本を担当してきた実力派です。

根本氏は、単なるエンタメに終わらず、医療現場のリアルな課題や人間模様を丁寧に描くことで定評があります。

ドラマのモデルとなった実在の医師

本作の主人公・田上湖音波(たがみ・ことは)のモデルは、岐阜大学医学部附属病院に勤務する脳神経外科医・榎本由貴子(えのもと ゆきこ)氏です。

その人生は、まさに「ホントのようなウソのような」という言葉がぴったり当てはまります。 2023年12月に中京テレビニュースで取り上げられ、大きな反響を呼びました。

悲劇から生まれた医師への道

榎本由貴子氏の人生で最大のターニングポイントは、16歳の時に訪れました。

当時、彼女はレディースと呼ばれるヤンキー集団に属しており、荒れた毎日を送っていたといいます。

しかし人生が一変します。

親友とバイクで走行中に重大な事故が発生。

搬送先での緊急手術により、本人は一命を取りとめました。

しかし脳に重傷を負った親友は帰らぬ人となってしまったのです。

この喪失感と悔恨の中、手術を担当した医師から放たれた言葉が彼女の人生の羅針盤となります。

「もう命を粗末にするのはやめろ。 助かった命をこれからどう使うか真剣に考えろ」という叱責と励ましの言葉が、彼女を奮起させました。

常人を超えた猛勉強

元ヤンキーから医師への転身は、並大抵のことではありません。

高校を退学していた状態からのスタートだったのです。

医学部入試に向けて、彼女は通信制の高校に入学し、一からの人生をやり直す決断をしました。

その勉強量は常人離れしていました。

ドラマでは「毎日睡眠時間3時間の猛勉強」という表現が用いられていますが、これはモデルとなった医師の実際の努力の一端を示しています。

基礎学力から医学の知識まで、すべてを積み上げていく必要がある。

その苦難の道のりは、想像に難くありません。

やがて、彼女の努力は実を結びます。

21歳の時に岐阜大学医学部に合格。

これは「令和版ビリギャル」とも称されるほどの快挙でした。

高い学歴を背景にしていない環境からのスタートアップは、学力試験の点数以上の価値があります。

絶望的な状況から、自らの意志と努力だけで道を切り拓く――そうした人間の強さがこの医師の物語には秘められているのです。

二つの高度な医療技術を身につけた名医へ

医学部入学後も、榎本氏の努力は止まりませんでした。

医師になってからが本当の勉強だったのです。

特に彼女が目指したのは、脳神経外科医という医療界でも最難関の分野の一つ。

脳というわずかなミリ単位の誤りが生死に関わる臓器で、精密で高度な手術技術が求められます。

さらに彼女が習得したのは、単なる外科手術ではなく、「外科手術」と「血管内(カテーテル)治療」の両方という、通常であれば一人で習得することが難しい二つの技術です。

岐阜大学医学部附属病院では、去年より「ハイブリッド手術室」という、両方の治療を一度に行える最先端の設備を導入していますが、その両方を高いレベルで実施できる医師は医療現場でも極めて稀なのです。

元ヤンキーという出発地点から、「医療現場でも数少ない名医」へと昇り詰めた。

この成長過程そのものが、いかに彼女が医学という道に全身全霊を捧げてきたかを物語っています。

患者と向き合う医療哲学

興味深いことに、榎本氏が重視しているのは手術技術だけではありません。

むしろ、患者一人ひとりとの向き合い方を大切にしているのです。

ドラマの設定では「患者とは手術前に3回以上の面談を行い、私生活や性格、さらには手術後にどんな生活を送りたいかまでリサーチし、一人ひとりに合わせた手術や治療方法で寄り添う」という描写がされています。

医学が単なる解剖学的知識や手術技術ではなく、患者の人生に寄り添うものであるという哲学が感じられます。

元ヤンキー時代の「義理人情を重んじる」という感覚が、医師としての実践に活かされているのかもしれません。

この医療姿勢は、現代の医療現場において一つのモデルケースともなり得るもの。

効率性や数字上の成果だけでなく、患者という人間を見つめる医療――そうした実践が実在の医師によって行われているのです。

病院では「スゴ腕ドクター」と称される一方で、後輩からは「姉御」と慕われるなど、その人情味あふれる人柄が伝わってきます。

ドラマが描く医療現場の課題

では、この医師がなぜ今、ドラマ化されるほど注目されるようになったのか。

それは、彼女が単に優秀な医師であるだけでなく、医療現場そのものに問題を提起し、改革しようとしているという点にあります。

ドラマの設定では、都内の病院に引き寄せられた主人公が目にするのは、「患者の事情よりも病院の利益を優先する非情で合理的な経営陣」や「何をするにも上司の許可と書類提出が必要となる縦割り組織」という医療現場の現実です。

日本の医療界が抱える構造的な問題――官僚主義、効率性の追求、患者軽視の傾向――こうした課題に対して、ヤンキー気質のまっすぐさと医師としての専門知識をもって立ち向かう医師の姿勢が描かれるのです。

実際のモデルとなった医師も、既得権益や慣習に捉われない医療を実践しようとしているのでしょう。

その挑戦が、ドラマという形で多くの人々に伝わることになったのです。

橋本環奈が演じる意味

女優の橋本環奈が金髪の特攻服姿で演じるこの役は、単なる娯楽ドラマではありません。

元ヤンキーという背景を持つ医師の人生をいかに真摯に描くか、その挑戦が配役に反映されています。

橋本は本作について「今回の役には、モデルとなる脳神経外科の先生がいることにビックリしました。

学生時代はヤンキーで高校を退学してしまっていたのに、悲しい出来事がきっかけで並々ならぬ努力を重ねてドクターになる」とコメントしています。

彼女が実際にモデルとなった医師に面会し、「すてきなお人柄を身をもって感じた」という経験が、この役への向き合い方に深みを与えているのです。

なお、橋本環奈は日本テレビの「今日から俺は!!」でもスケバン役を演じた経歴を持ち、ヤンキー役は彼女の得意ジャンルの一つとされています。

清楚で純真というイメージを持つ視聴者も多いなか、金髪姿で「たぁけかっ(岐阜弁で’愚か者’)」と張り上げる彼女の姿は、新たな表現の地平を開くものになるでしょう。

医療ドラマの新しい地平

医療ドラマは日本のドラマ文化の中で確立されたジャンルです。

しかし本作「ヤンドク!」が既存の医療ドラマと異なるのは、モデルとなった実在の医師が明確に存在すること、そしてその医師の医療哲学と改革姿勢が作品の核になっていることです。

白衣で患者を診察する医師の日常から、医療現場の制度的課題、そして医師自身の人生の物語まで――複数のレイヤーを持つ物語が、令和の視聴者に問いかけるものは何か。

それは、われわれが享受する医療というシステムの背後には、理想と現実の間で葛藤する個々の医療者の姿があるということ。

そして、制度や慣習に縛られず、患者のために立ち上がる勇気を持つ人間がいるということなのです。

元ヤンキーという逆境の出発地点から、医学の道に進み、患者と真摯に向き合い、医療現場に改革を起こす――こうした実在の医師の人生そのものが、ドラマを通じて多くの人の心を揺さぶることになるでしょう。

ドラマ放映情報

ドラマ「ヤンドク!」

  • 放映開始日:2026年1月12日(月・祝)
  • 時間帯:毎週月曜21:00~(初回30分拡大)
  • 放送局:フジテレビ系
  • 主演:橋本環奈
  • 脚本:根本ノンジ
  • 演出:佐藤祐市 ほか

フジテレビの月9ドラマ枠での放送となります。

「ヤンドク!」はドラマ化を通じ、医療の最前線で患者と向き合う一人の医師の感動実話を、全国の視聴者に届ける形となるのです。

2026年1月12日の放送開始まで、多くの期待が寄せられることは間違いありません。

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