1997年の連続ドラマで社会現象を巻き起こした「踊る大捜査線」シリーズ。
2012年の映画『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』から14年を経て、ついに新作の公開が決定しました。
2024年11月に公開された『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』の両映画で大きな話題を呼んだ「踊るプロジェクト」。
その流れを受けて、2026年秋に最新作『踊る大捜査線 N.E.W.』(読み方:エヌ・イー・ダブリュー)が劇場公開されることが9月30日に正式発表されました。
タイトルの「N.E.W.」は「NEXT. EVOLUTION. WORLD.」の頭文字を取ったもので、新しい「踊る」の時代の幕開けを表現しています。
そして何より注目すべき点は、主人公・青島俊作を演じた織田裕二が、13年ぶりに緑色のモッズコートに身を包んで帰ってくることです。
織田裕二、感慨深い想いとともに復帰
実は織田裕二本人も、このタイミングでの復帰に特別な感情を抱いていました。
織田のコメントで明かされたのが、「もし次の『踊る』があるとしたら、和久さんぐらいの歳のときかなあと言っていたら、本当に近い年齢で演じることになりました」という言葉です。
いかりや長介が演じた和久平八郎は、青島の指導役として登場した定年間近のベテラン刑事。
現在57歳の織田が、かつて想像していた「和久さんくらいの年齢」での新作出演という、時の流れと運命的なタイミングが実現したわけです。
撮影は2025年10月から東京・新宿でスタートしました。
初日の撮影シーンは、何とも「踊る」らしい奇跡に包まれていました。
早朝から約400人のエキストラが集まる中での撮影は、降りしきる雨で一時は中止の可能性もあったほどでした。
しかし織田がトレードマークのモッズコート姿で現れた瞬間に雨が止み、絶好の撮影コンディションが実現。
新宿のど真ん中を青島が疾走するシーンが迫力たっぷりに撮影されたのです。
織田本人も「クランクインも、雨で撮影中止の可能性もありましたが、本番直前に晴れ間が出て、そんな幸運も『踊る』らしいなと感じました」とコメント。
見事に緊張感を解きながらも、確かな手応えを感じて撮影に臨んでいる様子が伝わってきます。
本広克行監督が語る「新たな踊る」の形
メガホンを取る本広克行監督は、今作での青島像をこう語ります。
「今作での青島は、周囲の世代交代が進む中で、変わらずにいて、『繋いでいく人』の物語です。」
『室井慎次 敗れざる者/生き続ける者』での室井慎次の終焉から、その想いを託された青島が、警察という組織の中でどのようにその意志を継ぎ、次の世代へと繋いでいくのか。
その新たな物語が「踊る大捜査線 N.E.W.」の中心テーマになるということです。
本広監督は、昨年公開された『室井慎次』2部作の大ヒットから気づかされたことについて、「ヒット作を生み出すのが難しい時代に、昨年公開された『室井慎次 敗れざる者/生き続ける者』は多くの方にご覧いただき、『踊る』シリーズは他にはない本当に強い作品だったのだなと、改めて気づかされました」と述べています。
そして、13年ぶりに現場に帰ってきた青島について、「コート姿の青島は健在で、当時と全く変わらない雰囲気で、カメラの前に立った瞬間、『帰ってきた!』と感じました」と語りました。
「踊る大捜査線」らしい、子どもから大人まで誰もが楽しめる「笑って泣ける」エンターテイメント作品を目指して制作される最新作。
監督の想いとしては、シリーズの根本にあるものを大切にしながら、時代とともに進化した「踊る」を表現していくというスタンスが感じられます。
話題の和久さんはどうなる?その真実
ファンから最も気になる質問が、「和久さんは出演するのか」ということです。
この質問への答えは、残念ながら「和久平八郎の出演は実現しない」というものになります。
和久平八郎を演じたいかりや長介は、2004年に逝去しました。
その後のシリーズでも、直接的な出演はありませんでしたが、スピンオフ作品など各所で和久の思い出や遺志が描かれてきました。
映画『容疑者 室井慎次』では、和久が亡くなったという設定が取り入れられ、シリーズの中でも心の奥底にいるような存在として描かれています。
ただし、和久平八郎が「踊る大捜査線」から完全に消え去ったわけではありません。
シリーズの歴代作品では、青島が和久の教えや名言を引用したり、その精神を受け継ぎながら事件に向かっている描写が数多く登場しています。
特に印象的なのが、「正義なんて胸に秘めておけ」「正しいことをしたければ偉くなれ」といった和久の名言です。
こうした言葉は今もなお、青島たち湾岸署の刑事たちの心に生き続けているのです。
『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』でも、青島が和久の思い出に触れながら事件と向き合う姿が描かれました。
そして今作『N.E.W.』でも、こうした「和久さんの遺志を受け継ぐ青島」というテーマが、重要な位置を占める可能性は十分に考えられます。
「踊るプロジェクト」の系譜を受け継ぐ黄金トリオ
今作を製作するのは、シリーズを牽引してきた「黄金トリオ」です。
プロデューサーの亀山千広、脚本の君塚良一、そして監督の本広克行がタッグを組みます。
この3人の組み合わせが創り上げた作品たちが、シリーズの数々の傑作を生み出してきました。
とりわけ注目が集まるのは、昨年の『室井慎次』2部作で黄金トリオが再結集し、大成功を収めたということです。
『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』の公開により、「踊る」シリーズの累計興行収入は500億円を突破。
これは単なる懐かしさではなく、時代とともに進化する作品の力があることを証明しました。
その流れの中で、いよいよ青島俊作の新たな物語が幕を開けるわけです。
黄金トリオが描く「次世代への継承」というテーマは、まさに現在の「踊る」が進むべき道を示しているようにも感じられます。
2026年秋、映画館で待つ新たな「踊る」の世界
『踊る大捜査線 N.E.W.』は2026年秋の劇場公開予定です。
14年ぶりの新作、そして13年ぶりの青島俊作との再会。
織田裕二が「随分お待たせしてしまいましたが、いよいよ、『踊る』が帰ってきます! 肩肘張らずにやりたいと思っているので、ぜひ皆さんも気楽に、映画館に来ていただけると嬉しいです」とメッセージを送っているように、シリーズファンにとって待ちに待った復活の時が近づいています。


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