2025年6月17日、嵐の二宮和也さんが42歳の誕生日に初の新書『独断と偏見』を集英社新書から発売しました。
あえて文字だけの表現に挑戦したこの一冊は、40代になった二宮さんがこれまで考えてきたこと、いま考えていることを縦横無尽に語る話題作となっています。
新書誕生の感動的なきっかけ
この新書が生まれた背景には、心温まるエピソードがありました。
二宮さんが2023年10月に独立後、「オフィスにの」の問い合わせフォームに長い付き合いのある担当編集者・野呂望子さんからメールが届いたことがきっかけでした。
野呂さんはステージ4のがんと診断される中で、「あなたの言葉をよく思い出し、それを励みにがんばってこれた場面があったので、お守りとして1冊の本に1したい」という内容のメールを送ったのです。
二宮さんは「自分の言葉に力が宿ってるとか、言葉によって誰かを動かせるとは考えてもなかった」と振り返りつつも、野呂さんのことを信じて1年間かけて制作に取り組みました。
10の四字熟語で構成される独特な1構造
『独断と偏見』は10の四字熟語をテーマに、計100の問いと向き合った構成となっています。
各章の構成は以下の通りです。
- 第1章:心機一転
- 第2章:適材適所
- 第3章:温故知新
- 第4章:喜怒哀楽
- 第5章:一心同体
- 第6章:魑魅魍魎
- 第7章:輪廻転生あるいは永劫回帰
- 第8章:猪突猛進
- 第9章:花鳥風月
- 第10章:二宮和也
毎月一日に一つの四字熟語をテーマに、1年間かけて語り続けた結果がこの一冊に凝縮されています。
タイトル変更に込められた真意
当初は「百問一答」というタイトルが候補に挙がっていましたが、二宮さん自身が読み返した際に「あまりにも独断と偏見すぎて、タイトルと合致していない」と感じ、急遽「独断と偏見」に変更されました。
二宮さんは「それだと性格が悪すぎる答えばかりだったので」と笑いながら振り返り、「このタイトルにして、非常に読みやすくなったように感じます」とコメントしています。
あえて「新書」を選んだ理由
なぜ写真集でも単行本でもなく「新書」という形態を選んだのでしょうか。
二宮さんは「単純に写真ナシで文字だけという形態が自分にとっては新しい試みで面白そうだな」と語っています。
また、「学問やビジネス向けのイメージが強い新書そのものの枠を広げて、読者層を厚くしたいという意図もいいなと思いました」と、新書界への新たな挑戦としての意味合いも込められています。
二宮さんは普段から「InstagramよりもX派」で、「文字ベースの世界」により親しみを感じており、この選択が自然だったと説明しています。
ジャニー喜多川氏への率直な思い
本書で最も注目を集めているのが、ジャニー喜多川氏について言及した部分です。
「いま、いちばん会ってみたい人は?」という問いに対して、二宮さんは「ジャニー。ジャニー喜多川に、誠心誠意をこめて謝ってもらいたい」と回答しています。
取材会では、この理由について「あの人が人様に迷惑をかけなければ、僕が所属していた事務所はなくならなかったし、僕がこういう道をたどることはなかった」と説明しました。
さらに「事務所をつくった人間でもあるけど、壊した人間でもある」と率直な思いを語っています。
独立後の経営者としての視点
2023年10月に旧ジャニーズ事務所から独立し、「オフィスにの」を設立した二宮さん。
本書では独立後の心境の変化についても詳しく語られています。
「より責任を持つようになった。依頼された仕事を自分で見るので、断ることも仕事のひとつだと42歳で初めて知る」と、経営者としての新たな視点を獲得したことを明かしています。
また、金銭管理については「めちゃくちゃうるさい」とし、「金銭トラブルだけは避けたい」というビジネス論も展開されています。
嵐への想いと活動終了について
2025年5月に発表された嵐の2026年5月末での活動終了についても触れられています。
二宮さんは「いまこの瞬間は嵐についてあまり考えていないかな」としながらも、「全員の気持ちがひとつになって『やろう』って動かないと、皆が見たいものにも僕らがやりたいものにもならない」と心境を記しています。
嵐については「僕から見える(自分以外の)4人なんです。あの4人が楽しそうにしていればそれでいいなという月日でした」と、メンバーへの愛情深い思いを語っています。
エゴサーチを活用する現代的なアプローチ
興味深いのは、二宮さんがエゴサーチを積極的に作品作りに活用していることです。
「エゴサできるようになって幅が広がった。映画とかはそこまではしないけど連ドラとか続いているものは徹底的に洗っていきます」と明かしています。
特に『ブラックペアン』シーズン2では、ファンからの音楽に関する意見を取り入れ、オペシーンにクラシック音楽を使用など、視聴者の声を真摯に受け止める姿勢を見せています。
家族への想いと報道への抗議
2019年に結婚し、2女の父となった二宮さん。
2024年11月に家族の七五三写真が盗撮・報道された件についても言及しており、「いまでも許すつもりはない」「我が家の七五三は『報道』になるような案件ではない」と強い憤りを示しています。
死生観について
本書では死生観についても深く語られています。
「僕はもう二度とこの人生を歩みたくないなと思うくらい、いまの人生を頑張る」という決意を明かし、40代という人生の節目における深い思索が垣間見えます。
ファンとメディアの反応
発売前から書店に並び始めた本書について、二宮さん自身がXで「ねぇ、6月17日に発売される二宮和也の初の新書【独断と偏見】がもう書店に並んでるって噂を聞いたんだけど、本当なの?それは??」と驚きを投稿する一幕もありました。
ファンからは「都内と神奈川の方では並んでる書店があるみたいですよー」「大手さんを中心に山のように並んでる」といった目撃情報が相次ぎ、発売前から大きな話題となりました。
編集過程での細部へのこだわり
制作過程では、二宮さんが細部にまでこだわりを見せました。
「一番最初は『黒ペンで書かないで』と言われて、すぐに色付きのペンを買いに行きました」というエピソードや、一人称の「僕」と「俺」について「統一しないでください」と伝えるなど、言葉のニュアンスまで大切にする姿勢が貫かれています。
アイドル観と今後への想い
二宮さんは理想のアイドル像について「相手の要求をかなえてあげる。かゆいところに手が届く存在でありたいと思っていました」と語り、「嵐のコンサートなら行っていいよ」と言ってもらえるような「安心安全」な存在を目指してきたことを明かしています。
まとめ:純度の高い”ニノ流哲学”
取材会で二宮さんは「自分らしさ、言葉の純度が高めなものが作れた」と手応えを示しました。
42歳という人生の節目に、独立、嵐、家族、死生観まで、あらゆるテーマに向き合った本書は、まさに現在の二宮和也さんの等身大の思いが詰まった一冊となっています。
定価1,100円(税込)、192ページの新書として手に取りやすい形で発売された『独断と偏見』は、二宮さんが「1人でも多くの方に届けてもらえれば」と願う通り、多くの読者に愛され続けることでしょう。
文字だけで表現された”ニノ流哲学”は、きっと多くの人の心に響き、時には励ましとなり、時には考えるきっかけを与えてくれる、特別な一冊になるに違いありません。
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