公式Xアカウントが発信した強烈なメッセージ
2025年8月6日、高機能ポリ袋「アイラップ」の公式Xアカウントが、フォロワー33万人を抱える影響力のあるプラットフォームから衝撃的なメッセージを発信した。
「炊飯器に!!!!!!アイラップを!!!!!!!!入れるなッッッ!!!!!!!※※特に炊飯モード時」
この強烈な警告は、一般ユーザーが「アイラップ レシピと検索すると結構な数の炊飯器レシピ出てきて、怖〜!ってなってる」と投稿したことを受け、公式アカウントが元の投稿をそのまま引用して注意喚起を行ったものだ。
この投稿は13日時点で16万件以上の「いいね」を集める大反響となり、あらためてアイラップの間違った使用法に対する注意喚起が全国規模で拡散された。
低温調理機能付き炊飯器でも使用禁止
公式アカウントは続けて、よくある質問への回答も投稿した。 特に注目されたのは以下の三つの質問への回答である:
Q. 保温モードなら大丈夫?
A. わかりません。用途対象外です。箱に書いてある通りにご使用下さい
Q. 箱に炊飯器NGと書いてない
A. 箱に書いてある通りにご使用下さい
Q. 低温調理できる炊飯器でもダメ?
A. 弊社では関知しておりません。メーカー様までお問合せ下さい
この回答により、低温調理機能が付いた炊飯器であっても、アイラップメーカーとしては推奨しないという明確な立場が示された。
炊飯器使用が危険な理由とは
岩谷マテリアルの担当者は、J-CASTニュースの取材に対して炊飯器使用が危険な理由を詳しく説明している。
「炊飯器にアイラップを直接入れ炊飯をすると、袋が蒸気口や内側の部品を塞ぐ恐れがあります。 蒸気の逃げ道がふさがれると、内部圧力が異常に高まり、故障や事故につながる可能性があるためです」
実際に、炊飯器の蓋が飛ぶような危険な事例も報告されており、インターネット上では「アイラップを炊飯器に入れて使用したため爆発した人がいた」という情報も流れている。
多くの炊飯器メーカーの取扱説明書にも、ポリ袋を使った調理は禁止事項として明記されている。
SNSで拡散される間違った使用法への対策
岩谷マテリアルでは、これまでも繰り返し注意喚起を行ってきた。 同社の担当者は困惑を隠さない。
「アイラップが広まるにつれ、想定外の使用をされる方も増えており、大変驚いております。 また、SNSや動画サイトなどで誤った使い方が拡散されており、当社でも注意喚起を行なっております」
特に危険とされる使用方法として、炊飯器以外にも以下が挙げられている:
- 油分を含んだ食品を電子レンジで加熱する
- 袋を縛って密閉状態にして電子レンジで加熱する
- 耐熱皿を使わず湯せんや電子レンジで加熱する
- 電子ケトルにアイラップに入れた食材を入れて調理する
アイラップの正しい使用法と耐熱性
アイラップは1976年発売の歴史ある商品で、耐熱温度は120℃、耐冷温度は-30℃となっている。 公式サイトでは以下の4つの用途を推奨している:
- 食品の冷凍・冷蔵保存
- 食品の保存
- 電子レンジでの解凍(耐熱皿使用)
- 熱湯での解凍・温め(耐熱皿使用、鍋肌に触れないよう注意)
低温調理での使用については、正しい方法で行えば問題ないとされている。 60-70℃程度の温度であれば耐熱性の範囲内で、鍋底に耐熱皿を敷き、鍋肌に触れないよう注意すれば湯せん調理が可能だ。
アイラップブームの背景とSNSの影響力
アイラップの全国的な知名度向上には、2018年に開設された公式Xアカウントの影響が大きい。 フォロワー数は現在33万人を超え、SNS開設から販売実績が約4倍に成長している。
2018年7月の最初のバズツイートでは「アイラップは全国区商品。 ただ売上の75%が新潟、山形、富山、石川、福井に集中しているだけなの…」と自虐的に投稿し、1万3000以上のリポストを記録した。
特に能登半島地震をきっかけに「ポリ袋炊飯」が注目され、防災用品としての認知度が一気に高まった結果、店頭での品切れや転売問題も発生している。
安全性への取り組みと今後の課題
アイラップは高密度ポリエチレン(HDPE)製で、BPA(ビスフェノールA)や可塑剤などの添加物は一切使用されていない。 日本食品分析センターの検査にも合格しており、食品衛生法上も安全性が確認されている。
しかし、SNSでの人気拡大に伴い、間違った使用法も同時に拡散されるという新たな課題が浮上している。 メーカーとしては「正しい用途はパッケージに記載の通りです。 これから逸脱するものは用途外使用です」として、継続的な注意喚起を行っている。
今回の騒動は、便利な商品がSNSで話題になる際の「光と影」を象徴的に表している。 正しい知識の普及と安全な使用方法の啓発が、今後ますます重要になってくるだろう。
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