卒業式のシーズンが近づくと、桜の開花とともに様々な楽曲が心に響き始めます。
友情や成長を歌い上げる歌詞、前に進む勇気をくれる応援ソング、そして別れを美しく彩るメロディ。
日本の卒業式文化において、音楽は単なるBGMではなく、思い出と感情を結びつける重要な役割を担っています。
毎年3月になると、各世代で愛される卒業ソングが街に流れ、人々の心に深い感動を与えます。
2025年の今年も、様々な世代に愛される名曲から最新のヒット曲まで、卒業シーズンの音楽シーンは豊かな広がりを見せています。
日本の卒業式と音楽の深い結びつき
日本の卒業式には、「仰げば尊し」や「蛍の光」といった伝統的な唱歌から、現代のJ-POPまで、様々な音楽が彩りを添えてきました。
明治時代から歌い継がれてきた「仰げば尊し」は、師恩への感謝を歌った曲として長く卒業式の定番でした。
時代が進むにつれ、アーティストによる卒業や別れをテーマにした楽曲も増え、今では卒業ソングは一つのジャンルとして確立されています。
卒業式で歌われる曲には、直接「卒業」を歌った曲だけでなく、友情や成長、未来への希望といったテーマの曲も多く含まれます。
例えば、レミオロメンの「3月9日」は元々友人の結婚を祝う曲として作られましたが、タイトルやドラマでの使用などから、いつしか卒業ソングの定番となりました。
この例からも分かるように、必ずしも「卒業」を直接テーマにしていなくても、その情景や感情を思い起こさせる曲が卒業ソングとして親しまれています。
音楽は感情を直接心に届ける力があります。
卒業という人生の転機に流れる曲は、その時の感情と強く結びつき、何年、何十年経っても聴くとあの日の感動が蘇るものです。
それこそが、卒業ソングが単なる歌以上の存在である理由なのでしょう。
2025年最新！卒業ソングランキングTOP10
LINE MUSICが発表した2025年度版「卒業ソングランキングTOP10」によると、今年も世代を超えて愛される名曲から新しいヒット曲まで、様々な楽曲が卒業シーズンに人々の心を動かしています。
1. いきものがかり「YELL」
NHK全国音楽コンクールの中学校の部の課題曲として作られたこの曲は、思春期の苦悩や未来への期待を綴った歌詞が共感を呼び、卒業式で歌う学校が多い定番曲です。
2. レミオロメン「3月9日」
卒業ソングと言えばこの曲という方も多い不動の人気曲です。
2005年のリリース以来、卒業シーズンになると必ず耳にする曲として定着しており、20年近く経った今でもその人気は衰えていません。
3. ゆず「栄光の架橋」
アテネオリンピックのテーマソングとして知られるこの曲は、未来への期待に満ちた歌詞と力強いメロディで、卒業シーズンに聴きたくなる一曲です。
4. DISH//「沈丁花」
Z世代に特に人気の卒業ソングです。
青春の終わりと新たな出発を描いた歌詞が、卒業を迎える若者の心に強く響いています。
5. yama「春を告げる」
SNSで広がった楽曲で、特に若い世代に支持されています。
春の訪れと新しい始まりを歌った曲として、卒業シーズンにぴったりの一曲です。
6. アンジェラ・アキ「手紙〜拝啓、十五の君へ〜」
思春期の苦しみを未来の自分へ問いかける歌詞が特徴で、将来のことを考え始める学生たちの応援ソングとして長く愛されています。
7. 森山直太朗「さくら(独唱)」
2003年リリース以来、多くの学校で合唱されている桜ソングです。
その美しい旋律は今でも多くの人々に愛されています。
8. GReeeeN「遥か」
映画『ROOKIES – 卒業 -』主題歌として知られるこの楽曲は、新たな旅立ちへの希望と切なさが詰まっています。
9. AKB48「365日の紙飛行機」
NHK連続テレビ小説『あさが来た』主題歌として登場したこの楽曲は、高校生にも人気があります。
10. 乃木坂46「サヨナラの意味」
Z世代から支持されている切ない別れソングです。
世代別・人気卒業ソングの変遷
興味深いのは、世代によって思い出の卒業ソングが大きく異なる点です。
渋谷トレンドリサーチの調査やLINE MUSICのデータによると、以下のような世代別の傾向があります。
Z世代に人気の卒業ソング
現在の10代から20代前半の若者たちが選ぶ卒業ソングは、従来の定番から新しいヒット曲まで幅広いことが特徴です。
いきものがかりの「YELL」、レミオロメンの「3月9日」、ゆずの「栄光の架橋」といった従来からの定番曲に加え、DISH//の「沈丁花」やyamaの「春を告げる」など、比較的新しい楽曲も支持されています。
また、AKB48の「365日の紙飛行機」や乃木坂46の「サヨナラの意味」など、アイドルグループの楽曲も人気です。
Z世代はSNSの影響もあり、TikTokなどで流行した曲が卒業ソングとして定着するケースも見られます。
30代・40代・50代が思い出す卒業ソング
世代ごとの人気卒業ソングには、はっきりとした違いがあります。
30代の世代が選ぶ卒業ソングのトップは、レミオロメンの「3月9日」です。
次いで「旅立ちの日に」（合唱曲）、「仰げば尊し」（合唱曲）、森山直太朗の「さくら」、「翼をください」（合唱曲）と続きます。
2000年代初頭に学生だった世代らしい選曲と言えるでしょう。
40代の世代では、「仰げば尊し」（合唱曲）が最も人気で、続いて海援隊の「贈る言葉」、「蛍の光」（合唱曲）、松任谷由実の「卒業写真」、「翼をください」（合唱曲）と続きます。
伝統的な合唱曲に加え、70年代後半から80年代のヒット曲が中心となっています。
50代の世代では、海援隊の「贈る言葉」が最も人気で、次いで「仰げば尊し」（合唱曲）、斉藤由貴の「卒業」、「蛍の光」（合唱曲）、松任谷由実の「卒業写真」となっています。
『3年B組金八先生』の影響もあり、「贈る言葉」が強く印象に残っている世代と言えるでしょう。
興味深いのは、「仰げば尊し」や「翼をください」などの合唱曲が世代を超えて愛されていることです。
一方で、各世代固有の楽曲もあり、それらは当時の時代背景や流行を反映しています。
永遠の名曲：時代を超えて愛される卒業ソング
ここでは、長年にわたって卒業式で歌われ続けている名曲をいくつか詳しく紹介します。
仰げば尊し
1884年に発表された唱歌で、明治から現代に至るまで卒業式の定番として歌い継がれてきました。
教師への感謝と別れの寂しさを歌ったこの曲は、シンプルながらも深い感情を呼び起こします。
高校生を対象とした2023年の調査でも、この伝統的な唱歌が「卒業式の定番ソング」ランキングにランクインしており、現代の若者にも受け継がれていることがわかります。
レミオロメン「3月9日」
2005年にリリースされた曲で、友人の結婚を祝うために作られたものですが、タイトルや堀北真希が出演するMVでの卒業式シーン、ドラマ『1リットルの涙』で使用されるなどから、卒業ソングとして広く認知されるようになりました。
「あなたと出会った季節が」「今年も巡り来て」という歌い出しは、春の訪れと共に過ぎ去る時間を感じさせ、卒業という区切りにぴったりな楽曲となっています。
30代ランキングで1位に選ばれるなど、2000年代に学生時代を過ごした世代にとって特に思い入れ深い一曲です。
森山直太朗「さくら(独唱)」
2003年にリリースされた楽曲で、日本人特有の感性に訴えかける桜テーマソングです。
儚さと美しさを兼ね備えた歌詞とメロディは、多くの場合卒業式で歌われています。
2019年にはドラマ『同期のサクラ』主題歌として再録音されたバージョンも話題になりました。
ゆず「栄光の架橋」
2004年アテネオリンピックテーマソングとして発表されたこの楽曲は、新たな旅立ちへの希望や友情を描いています。
特に、「泣いて笑って絆を深め」「共に過ごした日々は永遠」という歌詞は学生生活を共に過ごした仲間との絆を思い起こさせます。
海援隊「贈る言葉」
1979年リリース。ドラマ『3年B組金八先生』主題歌として知られています。
“旅立ち”というテーマが強く込められており、多くの場合40-50年代層へ強く響きます。
シーン別おすすめ卒業ソング
卒業に関連する様々なシーンで活用できるおすすめの曲を紹介します。
合唱におすすめの卒業ソング
学校の卒業式や送別会での合唱に適した曲として、いきものがかりの「YELL」が挙げられます。
NHK全国音楽コンクールの中学校の部の課題曲として作られたこの曲は、合唱向けにアレンジされており、多くの学校で卒業式に歌われています。
応援の気持ちを込めた歌詞と覚えやすいメロディが特徴です。
川嶋あいの「旅立ちの日に・・・」も、合唱曲として人気です。
作者が中学3年生のときに作ったという経緯もあり、卒業を迎える学生の気持ちが等身大で表現されています。
2018年には高校生が選ぶ「TEENS TREND RANKING」の卒業ソングランキングで第1位を獲得するなど、多くの支持を集めています。
AKB48の「桜の栞」は、アイドルグループによる合唱曲として知られています。
美しいハーモニーと卒業をテーマにした歌詞が印象的で、学校の合唱でも取り上げられることがあります。
「翼をください」は、赤い鳥のヒット曲で、学校の音楽の教科書にも掲載されている合唱の定番曲です。
「翼があれば 自由に飛べる」という歌詞は、新しい世界に踏み出す卒業生にとって励みになるでしょう。
カラオケで盛り上がる卒業ソング
卒業パーティーやカラオケで盛り上がる卒業ソングとして、コブクロの「桜」が挙げられます。
桜ソングの定番曲で、コブクロの2人の歌声の美しさを堪能できる楽曲です。
カラオケでもデュエットで盛り上がる1曲として人気です。
Kiroroの「Best Friend」も、友人への感謝を綴った切ない楽曲として知られています。
友だちとカラオケで歌うと感動が倍増する名曲で、「出会えて本当に良かった」という感情を共有できる曲として、卒業シーズンに特に人気があります。
EXILEの「道」は、カラオケで歌う定番卒業ソングとして知られており、オリコンが集計したユーザー投票による「思い出の卒業ソングランキング」で1位に輝いたこともある人気曲です。
力強いボーカルと感動的な歌詞が特徴で、カラオケでは盛り上がること間違いなしです。
卒業ソングが紡ぐ思い出と絆
卒業ソングの魅力は、単にメロディや歌詞の素晴らしさだけではありません。
それらの曲が持つ力は、共に過ごした時間や人々との絆、そして成長した自分自身への思いを音楽という形で表現してくれることにあります。
卒業式で流れる曲は、その場にいる全員が同じ感情を共有する瞬間を作り出します。
先生も生徒も保護者も、それぞれの立場や世代を超えて、一つの曲に心を寄せる。
その経験は、一生の思い出として心に刻まれるものです。
また、卒業ソングは時を超える力も持っています。
何十年経っても、あの日に聴いた曲のメロディが流れてくると、タイムスリップしたかのように当時の感情や景色が鮮明によみがえってくる。
それは音楽だけが持つ特別な力かもしれません。
卒業は終わりであると同時に、新しい始まりでもあります。
だからこそ、卒業ソングは悲しさだけでなく、希望や勇気、感謝といった前向きな感情も内包しているのでしょう。
「サヨナラは悲しい言葉じゃない」というレミオロメンの歌詞のように、別れは新たな出会いのための必要な通過点なのかもしれません。
2025年の卒業シーズンを迎える皆さんも、ぜひ自分だけの「卒業ソング」を見つけてください。
それは今は単なる一曲かもしれませんが、何年か後に聴くと、きっと特別な思い出と共に心に響いてくるはずです。
音楽の力を借りて、大切な時間と絆を心に刻んでください。
そして、すでに卒業を経験した方々も、懐かしの卒業ソングを聴きながら、あの日の思い出に浸ってみてはいかがでしょうか。
時代や世代は変わっても、卒業という経験とそこで生まれる感情は普遍的なものです。
音楽はその橋渡しとなって、私たちの心に寄り添い続けてくれるでしょう。
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