2025年12月13日、お笑い芸人・狩野英孝が扮する音楽ユニット「50TA(フィフティーエー)」が、大人気アイドルグループ「King & Prince」に楽曲提供したというニュースが報道されました。
トップアイドルとドッキリから生まれたキャラクターのコラボという、一見すると冗談のような企画が実現しました。
しかし、その背景には約4ヶ月間の真摯な楽曲制作があり、最終的には「本物」の音楽コラボレーションが成立していたのです。
コラボの始まりは「ミュージックステーション」での邂逅
King & Princeと50TAが歴史的なコラボを実現させるきっかけは、2025年夏に遡ります。
テレビ朝日系「ミュージックステーション」での特番において、King & Prince(永瀬廉・高橋海人)と50TAが共演することになったのです。
この共演を通じて、キンプリのメンバーは50TAが放つ独特のエネルギーとポジティブさに惹かれたと言います。
永瀬廉と高橋海人の二人は、50TAの「らしさ」がコラボレーションになったら、自分たちのライブに新しい価値をもたらすのではないか、という着想に至ったのです。
「ダメ元でお願いしたらOKをいただいて今でも信じられません!」
永瀬廉がこう語っているように、トップアイドルグループがお笑い芸人のキャラクターに直接楽曲制作を依頼するという行動自体が、業界では相当な異例だったことが窺えます。
「バーチャルアイドル」という名の巨大なドッキリ
King & Princeからの依頼を受けたのは、テレビ朝日系「ロンドンハーツ」のMC・田村淳です。
50TAのもとに依頼を伝える際、田村は興味深い工作を施しました。
本当の依頼人がKing & Princeであることを当初は隠し、「バーチャルアイドル『KPDY』への楽曲提供」という偽りのプロジェクトとして狩野に説明したのです。
なぜこのようなことをしたのか。
それは、50TAが過去のドッキリ経験から疑心暗鬼に陥ることを予想したからです。
実は50TAは、2024年の「仮面ライダーテーマ曲ドッキリ」での経験がありました。
その時も壮大なドッキリの中で楽曲を制作した経験があり、今回も同じような流れになるのではないかと警戒していたと言います。
「昔みたいに素直に喜べない…」
狩野のこの言葉からは、ドッキリ番組での長年の活動の中で培われた、独特の「勘」が働いていたことが分かります。
疑心暗鬼の中で生まれた「50TAらしさ全開のエナジーソング」
それでも、楽曲制作が開始されると、50TA(狩野)は本来の力を発揮しました。
50TAの楽曲制作の特徴は「メロディ工場長」の異名の通り、高いメロディセンスとキャッチーなフレーズ生成能力にあります。
今回リクエストされたのは「コール&レスポンスができる曲」というものでした。
King & Princeのライブの特性を理解した上でのリクエストであり、50TAはこれに応えて、フロアが一体となれる楽曲を完成させたのです。
「50TAさんっぽさもありつつ、今のKing & Princeにも合う完璧な楽曲だったので本当にうれしくて何度も聞きました」
永瀬廉のこのコメントから、完成した楽曲が単なる「ネタ曲」ではなく、本当の意味での「完璧」と評価されていることが明確です。
キーワードは「いただきます!」
完成した楽曲における重要なキーワードが「いただきます!」です。
永瀬廉は「みんなで『いただきます!』って叫んでほしい」とメッセージを発表しており、これはライブやテレビ出演時に観客が一緒に叫ぶためのフレーズとして機能することが想定されています。
50TAのライブは元々、観客との一体感が非常に強いスタイルで知られています。
そこにKing & Princeのダンスとボーカル、大規模な会場演出が加わることで、これまでにない「カオスで熱い」ステージが実現する可能性が高いのです。
アルバム「STARRING」に正式収録で、単発企画ではない位置づけ
今回の楽曲が特別な理由はもう一つあります。 それはKing & Princeの最新アルバム「STARRING」(2025年12月24日発売予定)に正式収録されるという点です。
バラエティ番組の一企画で終わるのではなく、アルバムという形で音楽作品として永遠に残されることになります。 つまり、この楽曲は今後のKing & Princeのライブツアーや音楽番組、ストリーミング配信などでも繰り返し歌われ、演奏される可能性が高いのです。
これは50TAが単なる「ネタ提供者」ではなく、正当な「楽曲提供クレジット」を獲得したアーティストとして認識されたことを意味しています。
50TAという存在の15周年から新たな段階へ
狩野英孝が50TAを演じるようになったのは2009年2月3日。 テレビ朝日の放送50周年記念企画として、テレビ朝日系「ロンドンハーツ」のドッキリ企画で誕生したキャラクターです。 以来、16年に渡って狩野はこのキャラクターを育ててきました。
2024年は50TAにとって活動15周年という節目の年でした。 この時期には、キンプリとのコラボレーションという新たなマイルストーンに向けて動き始めていたのです。
2024年の50TAの活動には、いくつかの重要なイベントがありました。 7月には「15周年記念 これで見納め?完全燃焼ライブ」をEX THEATER ROPPONGIで開催。 さらに、翌2025年3月には横浜アリーナで1万人の観客を集めた「50TA15周年ファイナル これでホントに見納め?」を成功させています。 そして7月にはミュージックステーション出演。 その流れの中で、12月のキンプリとのコラボへと繋がっていったのです。
50TAのキャリアに見る「ネタを超えた音楽性」
50TAの楽曲は、ドッキリから生まれたという出自から始まりながらも、単なる「冗談」では終わりませんでした。 2010年2月10日にリリースされた初アルバム『50TA』は、オリコン週間アルバムチャート初登場9位を記録。 特に「PERFECT LOVE」は携帯着うたダウンロード第1位を記録し、累計50万DLの大ヒットとなっています。
このように50TAの楽曲は、当初から音楽ファンの間で「ネタとしての価値」を超えた「音楽としての価値」を持つと認識されていたのです。
ドッキリはドッキリでも「本物」
今回のプロジェクトの象徴的な側面は、ドッキリという形式の中に「本物」が存在しているという点です。
狩野が疑心暗鬼になったのは当然のこと。 ドッキリ番組での長年の経験から、本当の依頼内容を警戒するのは自然な反応でした。 しかし、その疑心暗鬼を乗り越えて制作された楽曲は、King & Prince側から「完璧」と評価され、正式なアルバム収録へと進んだのです。
つまり、ドッキリの形式は採用されましたが、完成した楽曲の品質と扱いは「本物」であり、決して冗談ではないということです。 これはお笑い芸人・狩野英孝の実力と、アーティスト・50TAの信頼が勝ち取った結果と言えるでしょう。
テレビ朝日「ロンドンハーツSP」で放送
このビッグプロジェクトの全容は、2025年12月13日(土)午後10時10分から午後10時54分にかけて、テレビ朝日系「ロンドンハーツSP~50TAにKing & Princeから楽曲提供依頼~」で放送されます。
番組では、King & Princeがプロジェクトについて語るシーン、狩野の楽曲制作過程、そして完成した楽曲のパフォーマンスまでが映像として記録されています。 King & Princeが実際に歌唱・ダンスを披露する場面があり、スタジオは「驚きと歓声に包まれた」とのことです。
業界でも類を見ないコラボレーションの実現
アイドルアーティストがお笑い芸人のキャラクターに楽曲提供を依頼するという、通常では考えられないシナリオが実現しました。 これは以下のような背景があってこそ成立しています:
まず、永瀬廉が自身で「大好きな50TAさん」と語るように、King & Princeのメンバーが本当に50TAの音楽性を評価していたという事実。 次に、50TAが2009年の誕生以来、単なるお笑い芸人の「ネタキャラ」ではなく、正当なアーティストとして活動し、実績を積み重ねてきたという事実。 そして何より、狩野英孝という職人肌のクリエイターが、「ドッキリ」という形式の中でも妥協せず、「完璧」と評価される楽曲を制作する実力を持っていたという事実です。
まとめ:異ジャンルコラボが生み出した化学反応
お笑い芸人のキャラクターとトップアイドルグループという、本来ならば交わりそうにない2つの世界が、ドッキリという形式を通じて融合しました。 その結果として生まれたのは、決して「冗談」ではなく、正式なアルバム収録楽曲という「本物」の成果物です。
永瀬廉が「ダメ元でお願いしたら」と語るように、最初の依頼自体が確実な成功を保証していませんでした。 しかし、50TAの楽曲制作能力、狩野英孝の職人気質、そしてKing & Princeのメンバーの柔軟な想像力が合致することで、業界でも類を見ないコラボレーションが実現したのです。
2025年12月24日にリリースされるKing & Princeのアルバム「STARRING」には、この歴史的なコラボレーション楽曲が正式に収録されます。 バラエティ番組の企画であると同時に、本当の音楽作品として。 これは狩野英孝という芸人の多面性、そして50TAというキャラクターが持つ真の価値を証明する瞬間となるでしょう。


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