マクドナルドの新キャンペーン「霊夢と魔理沙とモチモチの木」は、発表直後からXを中心に話題化しつつ、一部では「炎上」と呼ばれるほどの違和感やモヤモヤも噴出している企画です。
この記事では、今回のコラボの概要と、ユーザーがどこに引っかかりを覚えているのかを整理しながら、ネット上の反応を追っていきます。
マクドナルド「霊夢と魔理沙とモチモチの木」コラボとは?
日本マクドナルドは2026年2月18日、「大型コラボ第一弾」として「霊夢と魔理沙とモチモチの木」というキャンペーンビジュアル・動画を公開しました。
テーマになっているのは、東方Projectの人気キャラクター・博麗霊夢と霧雨魔理沙、そして昭和世代には教科書でもおなじみの児童文学作品『モチモチの木』という、世代もジャンルも異なる三つの要素です。
ライブドアブログ「ゴールデン速報」では、「大型コラボ第一弾『霊夢と魔理沙とモチモチの木』」というマクドナルド公式Xアカウントのポストが紹介され、「なにこれ」というスレタイとともにスレッドが立ったことが確認できます。
投稿には、「#クリームブリュレホットドーナツ」「#モチモチの木」「#ゆっくり解説」「#ドラッグストアザグザグ」「#檜山修之」など、複数のタグが並んでおり、ドーナツ系新商品のプロモーションであることもうかがえます。
一方で、東方Projectとマクドナルドの組み合わせ自体は、以前から「Bad Apple!!」オマージュPVなどで高い評価を得ており、「センスの塊」「公式が最大手二次創作」といった称賛も多く集めていました。
その流れを受けての「大型コラボ第一弾」だったこともあり、ファンの期待値はかなり高かったと言えます。
どうして炎上した?ネットで指摘されている主なポイント
今回の「炎上」とされる動きは、激しい不買運動や企業倫理問題というより、「なんでこうなった?」という戸惑いとツッコミが混ざった”困惑型”の燃え方に近いものです。
Xの反応や掲示板の書き込みを追うと、大きく次の3点が引っかかりとして語られています。
- コラボ要素の組み合わせがカオスすぎる
- 『モチモチの木』の扱いに違和感がある
- 既存のマック×東方コラボとの温度差
順番に整理していきます。
理由① コラボ要素が「盛りすぎ」で世界観がちぐはぐ
今回の企画タイトル「霊夢と魔理沙とモチモチの木」には、東方Project、児童文学、さらに「ゆっくり解説」「ドラッグストアザグザグ」「クリームブリュレホットドーナツ」と、複数の文脈が一気に詰め込まれています。
掲示板では「なにこれ」「何って…なんなんだろこれ」といった反応が並び、まずコンセプトの段階でユーザーの理解が追いついていない様子がうかがえます。
また、ふたば系掲示板のログでは、ドーナツ商品のPRと見られる文脈で「ザクもち生地のドーナツ」「ザグザグとモチモチの木をコラボさせて…」といった書き込みが見られ、商品側も「ザクもち」「モチモチ」といった語感を重ねているようです。
しかしここに、ゆっくり実況文化や東方二次創作文化まで乗ってきたことで、「情報量が多すぎて、何を推したいのか分からない」という指摘が目立っています。
企画としては、「東方キャラ」「昭和の児童文学」「新作ドーナツ」「ゆっくり系ネット文化」を、ひとつのネタ映像としてまとめた”全部乗せ”のパロディに近い印象ですが、この”乗せすぎ感”こそが賛否を呼んでいるポイントだと言えます。
理由② 『モチモチの木』への扱いへのモヤモヤ
『モチモチの木』は、1971年発表の児童文学作品で、国語の教科書にも長く採用されてきた名作として知られています。
幼い頃に読んだ記憶を持つ人が多く、ヤフーのリアルタイムまとめでは「子ども時代に読んだ絵本『モチモチの木』への懐かしさ」が、この話題のバズり要因のひとつと分析されています。
一方で、その「懐かしさ」が、今回のギャグ寄り企画と噛み合っていないと感じる層も一定数いるようです。
もともと『モチモチの木』は、少年の成長と恐怖心の克服を描く、しっとりとした雰囲気の物語であり、「ゆっくり」「ネットミーム」とのテンション差が大きいため、「ちょっと雑にいじりすぎでは?」と違和感を覚える人も出ていると考えられます。
ヤフーのまとめでは、「最近のマックやゆっくり、東方キャラとのコラボ画像と相まって」懐かしさと笑いが交錯しているとされており、ノスタルジーを前面に出したファンアート的な盛り上がりと、「思い出をネタ化されたように感じる層」の温度差が存在していることが読み取れます。
今回の「炎上」は、このノスタルジーの”取り扱い”に対するセンシティブさが背景にあると言えそうです。
理由③ 過去のコラボが高評価だったがゆえの落差
マクドナルドと東方Projectのコラボは、2025〜2026年にかけて段階的に展開されており、特に「Bad Apple!!」オマージュPVは非常に好意的な反応を集めていました。
BuzzFeed Japanの記事によれば、このPVは2008年にニコニコ動画へ投稿された伝説的コンテ動画のオマージュであり、原作者ZUN氏やMasayoshi Minoshima氏が制作に関わる”本気の二次創作”として評価されています。
また、2025年12月時点で、マクドナルド公式Xがシルエット画像を投稿し、ユーザーから「チルノだ」「ついに東方っ!?」といった期待の声が多数上がっていたことも、ITmedia系ニュースで報じられていました。
このように、事前のコラボ展開は「センスのあるリスペクト」「ファンの文脈をきちんと理解している」とポジティブに受け止められていた流れがあります。
その文脈を踏まえると、「霊夢と魔理沙とモチモチの木」は、これまでの”尖っているけれど丁寧なオマージュ”から一歩踏み出し、「ネタ寄り」「カオス寄り」の方向へ振った企画だと見ることができます。
結果として、「前のPVはめちゃくちゃ良かったのに、今回は雑コラ感が強い」「公式がやるにはギャグ寄りすぎる」といった、期待値とのギャップが”炎上”と言われる違和感につながっていると考えられます。
X(旧Twitter)で目立つ反応のタイプ
X上では、おおまかに次の3パターンの反応が目立ちます。
- 面白がる層 「発想がカオスすぎて笑った」 「正直霊夢と魔理沙ほどゆっくりしてるやつはいないで笑った」など、ネタとして評価する声。
- 置いていかれている層 「なにこれ」「何と何がコラボしてるのかもう分からない」と、企画意図が理解できず戸惑う声。 『モチモチの木』を知らない若年層や、逆に東方・ゆっくり文化に詳しくない層ほど、このパターンに入りやすいと考えられます。
- モヤモヤを示す層 「モチモチの木をネタ寄りに扱うのはちょっと…」 「東方コラボ自体は好きだけど、これはやりすぎに見える」といった、好意と疑問が入り混じった反応。
なお、Xでは「炎上を起こされたので、ほかのボカロPの面々が怯えて…」といった文脈で、この企画の”燃え方”が、他のクリエイターに心理的な影響を与えていることを示唆するポストも確認できます。
これは、企業とネット文化の距離の近さが増すなか、「次にどこまで攻めていいのか」各クリエイターが慎重になっている空気の表れとも言えるでしょう。
そもそも『モチモチの木』とはどんな作品か
今回の話題の背景理解として、『モチモチの木』自体について簡単に整理しておきます。
同作は、斎藤隆介作・滝平二郎絵による児童文学で、夜が怖い少年・豆太と、その祖父、そして不思議な「モチモチの木」をめぐる物語です。
作品のクライマックスでは、病に倒れた祖父を助けるため、豆太が恐怖心を乗り越えて夜道を駆け抜ける場面が描かれ、「勇気」「成長」「家族愛」といったテーマが、印象的な切り絵風イラストとともに刻まれています。
国語教科書にも長く採用されてきたことから、30〜40代を中心に「小学生の頃に読んだ」「教科書に載っていた」という記憶を持つ人が多い作品です。
こうした背景を踏まえると、『モチモチの木』をドーナツのキャッチーなイメージと結びつける試み自体は、「懐かしさ」と「現在のポップカルチャー」を接続しようとしたとも解釈できます。
しかし、その際に物語の持つ静かな雰囲気や、思い出としての重みをどう扱うかが、今回の議論の焦点になっていると見ることもできます。
ネットミームと大手チェーンの距離感
今回の一件は、「ネットミーム・二次創作文化」と「大手チェーンの公式企画」の距離感を考える上でも象徴的なケースです。
東方Projectや「Bad Apple!!」PVといったコンテンツは、もともとネット発の二次創作文化のなかで育まれてきたものであり、その空気感を理解したうえで丁寧に扱えば、大きな支持を得られることは、前回のコラボで実証されていました。
一方で、今回のように複数の文脈を”ネタ的”に一気に混ぜ込むと、「内輪ノリが過ぎて、何が面白いのか外側の人には伝わらない」「笑いの対象にしてはいけない部分まで混ざって見える」といったズレが生じやすくなります。
実際、バズの火種になったリアルタイムまとめでも、「懐かしさと笑いが交錯している」とされており、完全にポジティブな盛り上がりだけではないことがうかがえます。
ただし、現時点で確認できる限りでは、大規模な不買運動や企業不祥事レベルの批判というより、「攻めたネタ企画が賛否を呼び、SNSで”炎上気味”に語られている」という段階です。
そのため、「ガチの炎上案件」として扱うよりも、「ネット文化を公式がどう取り込むか」という文脈の中で慎重に受け止めるのが適切だと考えられます。
まとめ:炎上の本質は「カオスさ」と「思い出の扱い」
今回の「霊夢と魔理沙とモチモチの木」企画が炎上気味になっている背景には、次のような要素が重なっています。
- 東方Projectコラボへの期待値が高かった
- 『モチモチの木』という”思い出の作品”をネタ寄りに扱っているように見えた
- ゆっくり文化やドラッグストアCMなど、複数の文脈を一気に盛り込んだ結果、企画の意図が伝わりにくくなった
結果として、「面白い」「攻めていて好き」という声と、「雑コラっぽい」「思い出の作品をいじりすぎでは」という声がぶつかり合い、「炎上」と呼ばれる状態になっているのが現状です。
今後、マクドナルド側がどのような追加展開や説明を行うのかによって、受け止められ方は変化していく可能性があります。
トレンドを追う立場としては、「ネットミーム×大手ブランド」の成功例・失敗例を丁寧に観察しながら、ユーザーの”モヤモヤ”の正体を言語化していくことが、今後の企画づくりにも活きてきそうです。


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