革新的な名称で注目を集めるローソンの新商品
2025年7月8日、ローソンから画期的な新商品が登場しました。
それは「ビンテージ米おにぎり」──従来の「古米」という表現を一新し、まるでワインのような洗練されたイメージで生まれ変わった商品です。
この商品は、2023年産の北海道産ななつぼしを使用した塩おにぎりで、パッケージには「Vintage 2023」と記載されています。
販売価格は税込127円と、通常の塩おにぎりより22円安く設定されており、約2割の価格削減を実現しています。
話題のきっかけとなった米価高騰
この商品が誕生した背景には、深刻な米価高騰があります。
2025年2月の時点で、全国スーパーでの米の平均価格は5kg当たり3,829円と、前年同期比で約90%近い値上がりを記録しました。
この状況は「令和の米騒動」とも呼ばれ、消費者の家計を圧迫する社会問題となっています。
SNS上で賛否両論の嵐
批判的な声
「ビンテージ米」という名称に対して、SNS上では厳しい批判が相次ぎました。
元宝塚歌劇団の女優・毬谷友子さんは「古米をヴィンテージ米?本気で『ヴィンテージ』に失礼ではないでしょうか?」と疑問を呈しました。
ネット上では以下のような声が上がっています:
- 「ヴィンテージ米なんていいもんじゃなくて、ただの劣化米でしょ!」
- 「物は言いよう、っていう慣用句があるけど、まさにこれだな」
- 「経年劣化している米を、名前を変えてごまかしている」
肯定的な反応
一方で、このネーミングセンスを評価する声も多く見られます:
- 「天才すぎる。物は言いよう、心も軽くなる」
- 「ものは言いようだな!」
- 「よく考えるな~」
実際の消費者の反応は?
7月8日の発売日に実際に購入した消費者からは、予想以上に好意的な反応が聞かれました。
実際の購入者の声:
- 「自分自身はあまり味の違いが分からないと思うので、買おうかなと思います」
- 「サラダと合わせると割引になるのが頭にあったので買いました。古米の使用にこだわりは全然ない」
- 「特に古米とかはこだわらないです」
コスパ面での魅力と限定性
価格的な優位性
ビンテージ米おにぎりの最大の魅力は、そのコストパフォーマンスにあります。
現在のローソンの主力おにぎりと比較すると、大幅な価格削減を実現しています:
- ビンテージ米おにぎり(塩): 127円
- プレミアムおにぎり(塩): 149円(22円高)
- シーチキンマヨネーズ: 157円(30円高)
- 熟成紀州南高梅: 167円(40円高)
限定販売による希少性
現在、この商品は東京都内の約250店舗でのみ販売されています。
これは調達できた古米の量が約2トンと限られているためで、中央区・港区・江東区・品川区・目黒区・大田区の6区が対象となっています。
古米の味は実際どうなのか?
専門家の見解
お米の専門家によると、適切に保管された古米は決して「まずい」わけではありません。
五つ星お米マイスターの上田那未さんは、「古米は水分量が少なくパラパラしており、粘りが控えめであっさりした味」だと説明しています。
実際に、日本の寿司店では新米だと粘り気が出て食感が悪くなるため、古米を使用したり、ブレンドしたりすることが一般的です。
実際の試食結果
農林水産省が開催した試食会で、news zeroの藤井キャスターが2021年産の古古古米を試食した結果、「これを例えば新しいお米だと言われても、分からないレベルかもしれません」と評価しました。
食品ロス削減への取り組み
サステナブルな食循環の実現
ローソンの竹増社長は、この取り組みについて「古米もいいよねという認識を広げたい」と語っています。
本来であれば飼料用に回される可能性もあった古米を、食用として有効活用することで、食品ロス削減に貢献しています。
今後の展開予定
ローソンは今回の古米とは別に、2021年産の備蓄米500トンを中食用として随意契約しており、今後はこの古古古米を使った弁当なども販売する予定です。
米価格の動向と政策効果
備蓄米放出の効果
小泉農水相は、備蓄米放出による政策効果が現れていると述べています。
全国のスーパーで販売された米5kg当たりの平均価格は3,672円と、6週連続で値下がりしており、3,600円台となったのは2025年1月以来、21週間ぶりのことです。
依然として高い価格水準
しかし、米5kg当たりの価格は前年同期比で依然として1,000円以上高い状況が続いており、消費者の負担は軽減されていません。
他社の動向と業界全体の取り組み
コンビニ業界の対応
ローソンだけでなく、他のコンビニ大手も古米活用に乗り出しています:
- ファミリーマート: 1,000トンの備蓄米を1kg360円で販売
- セブン-イレブン: 無洗米2kg800円前後で販売予定
消費者の選択基準
名古屋市での街頭調査では、米の選択について以下のような意見が聞かれました:
- 「子供がいるので新しい方を選択する」
- 「高くても今のままかな」
- 「工夫次第で米に変わるものにしたり」
まとめ:新しい価値観の創出
ビンテージ米おにぎりの取り組みは、単なる価格競争を超えた新しい価値観の創出と言えるでしょう。
「古米」という従来のネガティブなイメージを「ビンテージ」という洗練された表現に変えることで、消費者の認識を変える試みです。
批判的な声もありますが、実際の購入者からは概ね好意的な反応が得られており、コストパフォーマンスの高さも評価されています。
この取り組みが成功すれば、食品ロス削減と消費者の負担軽減を同時に実現する新しいモデルケースとなる可能性があります。
米価高騰が続く中、このような創意工夫による解決策が、今後の食品業界にどのような影響を与えるか注目されます。
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